節税の話

「節税」とGoogleで検索すると、様々な節税方法が出てきます。

それさえ読めば、税理士などの専門家に聞かなくても実行できる有効なものもたくさんありますが、中には実施しない方がよいものも含まれていることがありますので、いくつか例を挙げてお話していきたいと思います。

目次

節税には2種類存在する

世の中で「節税」と呼ばれているものの中には、大きく下記の2つに分類することができます。

  • 税金などの削減
  • 税金の先送り

前者は、支払う税金や社会保険料などを減少させる、一般的な節税のイメージに近いものです。

こちらの節税については、節税金額は大きくなく、かつ、適用のための要件が厳しいものが多い傾向にありますが、使えるのであれば積極的に活用していくことをおすすめできる方法です。

一方後者は、今支払う税金などを減少させ、将来に支払う税金などを増加させるものです。専門的な言葉ですが、課税の繰り延べと呼ばれることが多いです。

例えば、今年の税金を10万円少なくするが、10年後の税金が10万円多くなります、といった内容です。

こちらの節税方法は、比較的金額が大きく、適用の要件も緩めである傾向にあります。ただし、この方法はトータルで見ると税金が安くなっているわけではないことに注意が必要です。インターネットで見たり、知り合いに聞いたりして、節税をしていたはずなのに、実は損をしていた、なんてことにならないよう、この方法を採用する場合には、本当に自分にとって必要なものなのかどうか、しっかりと考えることが重要です。

税金の削減

前者の節税方法について、いくつか例を挙げてみたいと思います。

◇ 個人事業主

  • 青色申告特別控除の活用
  • 事業専従者給与の活用 etc

◇ 法人

  • 役員報酬の変更
  • 出張手当の活用
  • 賃上げ促進税制
  • 中小企業投資促進税制 etc

個別の内容については、今後紹介していきたいと思っていますので割愛しますが、これらの施策は税金などを安くすることができますので、積極的に検討していきたいところです。

税金の先送り

こちらもいくつか例を挙げます。

◇ 個人事業主

  • 小規模企業共済
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo) etc

◇ 法人

  • 生命保険の活用
  • 経営セーフティ共済の活用
  • リース資産への投資 etc

一番有名な生命保険を使った節税について、数字を使って確認してみましょう。

・毎年の利益が1,000万  税率は30%

・毎年の保険料は200万で、10年後に2,000万の保険金が返ってくる保険商品

・保険料の損金算入割合は70%

・保険金の入金時には、退職金で相殺する

※現在では、こんな条件のいい保険商品は無いはずですが、分かりやすさ重視で、この内容で計算しています

生命保険を活用しなかった場合

1年目2~9年目10年目10年間合計
利益1,000万1,000万1,000万10,000万
税金300万300万300万3,000万

生命保険を活用した場合

1年目2~9年目10年目10年間合計
利益1,000万1,000万1,000万10,000万
保険料△200万△200万△200万△2,000万
保険金2,000万2,000万
退職金△2,000万△2,000万
税金258万258万258万2,580万
※税金の計算 1,000万 – 200万×70% = 860万 860万×30%=258万

こういった内容の比較が多く使われているのではないでしょうか。

確かに、トータルで税金が420万も安くなっているように見えます。では、この場合はどうでしょうか。

1年目2~9年目10年目10年間合計
利益1,000万1,000万1,000万10,000万
退職金△2,000万△2,000万
税金300万300万△300万2,400万

保険料を毎年200万払わずに預金に残しておいて、10年目にまとめて退職金として支払ったケースです。

10年目は赤字になりますので、繰り戻し還付という制度を使えば、9年目に支払った税金300万が返ってくる計算になります。

トータルの税金では、生命保険に加入した時よりも安くなってしまいます。

また、毎年のキャッシュフローも見てみましょう。

1年目2~9年目10年目10年間合計
利益1,000万1,000万1,000万10,000万
税金300万300万300万3,000万
現預金700万700万700万7,000万
1年目2~9年目10年目10年間合計
利益1,000万1,000万1,000万10,000万
保険料△200万△200万△200万△2,000万
保険金2,000万2,000万
退職金△2,000万△2,000万
税金258万258万258万2,580万
現預金542万542万542万5,420万

毎年の手元に残るお金という点では、保険に加入した方が少なくなります。つまり、今現在で手元のキャッシュに余裕が無い場合は、無理に節税をすることで、資金繰りが悪化する可能性があるということです。

もちろん、生命保険などにも良い点はたくさんあります。万が一のときの保障は、経営者にとって非常に心強い支えになってくれると思います。

ただし、税金・節税という観点から見ると、税金の先送りをするだけの節税策というものには、あまり魅力はないと私は考えています。

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この記事を書いた人

税金の話を中心に投稿しております。
自分の備忘用のメモでもあります。

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